咳喘息の治療はいつまで??
- 2024年2月19日
- 呼吸器内科
咳喘息の患者さんから非常に多い質問は以下の2つです。
「咳が治ったら、薬は止めても良いですか?」
「いつまで治療は続ければ良いですか?」
ずばり、咳喘息の治療の意味は2つです!!
1.今の咳症状をなくすこと。そして、今後も咳がでないように予防すること。
2.典型的な気管支喘息への移行を阻止すること。
1.咳症状の改善・予防
咳喘息の重症度は、患者さんによって様々です。吸入薬の治療を開始すると咳は速やかに改善します。遅くとも5日以内に多くの患者さんが、治療の効果を実感され、1〜4週間治療を続けると、もう治った、薬はいらない・・程度まで改善します。
しかし、その時点で薬を止めてしまうと咳症状が再発する方が少なくありません。
しばらく咳が出なくても、風邪、季節の変わり目、寒暖差、ほこり、過労・ストレスなどから、再燃してしまう方が多いです。
2.気管支喘息への移行を阻止する
日本呼吸器学会が発刊している、『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019』からの抜粋・要約です。
“ 咳喘息の経過中に成人では、3−4割、小児ではさらに高頻度で喘鳴(ヒューヒューいう息苦しさのこと)が出現し、典型的な喘息に移行します。ステロイド吸入薬の使用により典型的な喘息への移行率が低下するという報告があります ”
“ 咳症状が続く方には、長期の治療継続が必要です。治療開始後、短期間で症状が消失・軽快した患者に、いつまで治療を続けるかの根拠は乏しいです。しかし、呼吸器の専門施設では、呼吸機能や気道炎症マーカー(呼気NOなど)に基づく長期治療が望まれます。呼吸器の専門施設以外では1年以上治療を行い,ステロイド吸入薬が低用量まで減量できて、無症状であれば中止を考慮してもよい ”
当クリニックでは以下のような治療を提案しています。
当院は、呼吸器の専門クリニックですので、受診までの経過(繰り返し咳が起こっているのか、咳が持続していた期間など)、呼吸機能検査、気道炎症(呼気NOや血中好酸球値)、治療後の経過などにより、喘息への移行リスクを評価し、患者さんごとに治療期間を変えて提案しています。
また、
・毎年特定の時期になると咳喘息が再発するなどの、季節性が明らかな場合は、症状が始まる前から治療を開始し、その季節が終われば治療を中断することもあります。
・咳喘息の再燃・増悪の原因として、風邪がとても多いです。お子さんが小さい、など風邪をひく機会が多いかたは、長めに使用をおすすめしております。
そして、治療を中止する場合は、
- 咳喘息が再燃する可能性を覚えておくこと。咳が出始めたら、速やかに受診いただくこと。
- 喘息に移行してしまうリスクを、認識しておくこと。
に注意してください。
咳が出ないのに、治療をする必要性は上記のこととなります。
脳梗塞や心筋梗塞予防のため、高血圧、糖尿病の患者さんが症状もないのに、内服治療をすることと、少し似ていますね。