梅雨の時期と喘息について
- 2025年6月5日
- 呼吸器内科
いよいよ本格的に梅雨が始まります。じめじめが不快な方も多いと思いますが、湿った空気そのものは、喘息に害を及ぼしません。湿気は、喘息患者さんの敏感になっている気管支によかったりもします。
ただ、高湿度から生じるカビやダニ・ダストといった、アレルギーの原因物質(アレルゲン)は喘息の大敵です。梅雨の期間に喘息や咳喘息の悪化がおこらないように、気をつけていきましょう。
梅雨の時期、喘息患者さんに与える影響・特徴
カビ、ダニ・ハウスダスト
梅雨の期間は高湿度によりカビが増殖します。とくに、数ヶ月使用していなかったエアコンのフィルターには、カビが増殖することも多く、クリーニングを行わずに使用し始めると、カビの胞子を部屋中にばらまいてしまいます。ですので、久しぶりにエアコンを使う前には、フィルターと内部のクリーニングを行いましょう。また、使用開始時は、まめな換気も重要です。
ダニ・ハウスダストは、アレルギー素因を持っている喘息患者さんにとって、炎症をおこしやすい物質(アレルゲン)です。梅雨の時期は、最もダニが繁殖しやすい時期と考えられています。また、ハウスダストの中に、このダニの死骸や糞などの物質が多く含まれています。ですので、こまめな掃除、できれば毎日、少なくとも3日に1度は床掃除をしましょう。また、寝具類、カーペットなどはダニの温床になりかねません。晴れた日に干す、布団乾燥機を活用する、掃除機を頻繁にかけるなどにより清潔に保ちましょう。
寒暖差や梅雨型の気圧配置など
喘息患者さんは、気道の炎症を起こしており、そのため様々な刺激に対して知覚過敏の状態になっています。梅雨時に喘息の症状が悪化するのは、低気圧という刺激の影響が考えられます。また、急な寒暖差も刺激の一因となります。
これらは、回避するのは難しいため普段から定期的な吸入ステロイド薬を継続して、気道の炎症、知覚過敏の状態をコントロールすることが、症状を増悪させない最も重要な方法です。
自分自身が何に反応しやすいのかきちんと調べることも重要です。血液検査にて、アレルゲンを調べることも可能です。日頃から悪化の原因をできる限り遠ざけるよう努め、吸入ステロイド薬をきちんと吸入する習慣を身につけましょう。