アレルギーの病気
アレルギーの病気
アレルギーとは、食べ物や花粉、ダニなどに対して過剰に免疫が働くことで、じんましんや鼻水、目の痒み、咳、息切れなどの様々な症状が起きる状態です。アナフィラキシーと呼ばれる重篤な状態が引き起こされることもあるため、注意が必要です。
近年、環境の変化により様々なアレルギー疾患が増えています。
アレルギー疾患においては単なる治療にとどまらず、原因を明らかにすることも大切です。
※小児の食物アレルギーの診断・治療は行っておりません。
気管支喘息とは、気管支(気道とも言います)の粘膜に慢性的に炎症が起き、気管支の内腔が狭くなります。気管支が様々な刺激に対して過敏になる結果、咳や痰、呼吸困難などの症状が急に起き、繰り返す病気です。
誘因・原因は様々ですが、わが国で最も多いのは、抗原となるタンパク質(アレルゲン)を吸入することで気管支にアレルギー・免疫反応が生じて発症するタイプです。
この他に、運動や特定の薬剤を服用することで同様の症状を引き起こすことがあり、それぞれ運動誘発喘息、アスピリン喘息と呼ばれています。
アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニなどが原因となり鼻粘膜に生じるアレルギー疾患です。
アレルギー性鼻炎には、ハウスダスト、ダニ、動物の毛などが原因の通年性アレルギー性鼻炎、花粉などの季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)があります。
主に「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の三大症状が引き起こされます。
花粉症とは、植物の花粉が原因で生じる季節性アレルギー性疾患の総称です。患者数は年々増加傾向で、国民のおよそ25%が花粉症にかかっていると推測されています。
原因となる植物は、スギやヒノキ、イネ、ヨモギ、カモガヤ、ブタクサ、シラカンバなどです。
花粉は植物の種類によって飛散時期が異なります。また、気象条件によって飛散時期や飛散量に変動があり、地域差もあります。
花粉は鼻や目から体に取り込まれると、免疫機構によって異物として認識され、これらの物質が神経や血管を刺激することで花粉症を発症します。
花粉症の主な症状は「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」ですが、年齢、花粉飛散量、曝露時間などによって様々な症状があります。
頭痛、鼻の痒みが起きることもあれば、花粉が目に入ると結膜でもアレルギー反応が生じることもあり、「目の痒み」「充血」「涙が出る」といった症状もあります。
蕁麻疹とは、皮膚の一部に膨疹(ぼうしん)と呼ばれる少し膨らんだ発疹が引き起こされる症状です。原因が特定できない特発性のものが多いですが、食物やストレスをきっかけに発症するものもあります。
急激に発症する膨疹が特徴で、1cmほどの大きさのものから、地図状に広く広がることもあります。蕁麻疹の膨疹は非常に強い痒みを伴い、数時間のうちに体の至る所に広がり、その後跡形もなく消失します。多くの場合、数時間で個疹は消失します。症状は数日中に軽快する場合が多いですが、なかには慢性的に経過することもあります。
蕁麻疹は、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤(非常に重い)なアレルギー反応として現れることもあります。
命に関わることがあるため、早急に受診して迅速な対応が求められます。
症状の程度に応じてアドレナリンやヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)や副腎皮質ステロイド薬などが用いられます。
アレルギーでは、原因となる物質を特定し、日常生活においてそれらを避けるような努力が必要です。
アレルギーの原因である(スギ、ダニ)などのアレルゲンを少量から投与して体に慣らしていき、長期にわたって症状を抑えたり、和らげたりすることが期待できる治療法です。
人体には細菌やウイルスといった外敵が体内に入り込んだ際、それらの外敵から体を守るために免疫という機能が備わっています。
ところが、そのために働くはずの免疫機能が、何でもないアレルゲン物質を外敵と勘違いして起きるのが、一般的に言われているアレルギー反応です。つまり、この免疫機能の勘違いを正す治療方法がアレルゲン免疫療法なのです。治療の原理として、免疫機能が外敵と判断しないくらいに微量のアレルゲン物質を体内に取り入れていきます。
それを少しずつ増して、徐々に慣らすように取り入れることによってアレルギーの発生をおさえます。
ダニ(ハウスダスト)アレルギーの治療法の一つに、アレルゲン免疫療法があります。アレルゲン免疫療法は、以前は皮下に注射する皮下免疫療法しかありませんでしたが、近年、舌の下に治療薬を滴下する「舌下免疫療法」が登場しました。ダニを含むエキス(治療薬)の量を少量から始めて徐々に増やし、繰り返し服用することによって体を慣らしていくことでアレルギー反応を起こさないように仕向けていき、ダニアレルギーを治癒に導く治療法です。