妊娠と喘息について|秦野の内科と呼吸器内科 - 東海大学前駅クリニック

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医療コラム

妊娠と喘息について|秦野の内科と呼吸器内科 - 東海大学前駅クリニック

妊娠と喘息について

先日、喘息を持っている妊娠中の患者さんが、咳で受診されました。
吸入をやめていたとのことで、咳症状が悪化されておりましたので、少し書いてみます。

妊婦さんは、薬が赤ちゃんに影響するのか一番心配ですね。

薬の影響は妊娠の時期によって異なります。

 

 

喘息がコントロールできていないと赤ちゃんに影響がある??

喘息がうまくコントロールできておらず、発作、咳などの症状が続くと、母親の血液の中の酸素の量が減ります。赤ちゃんは母親から酸素をもらっているので、赤ちゃんの血液中の酸素も減ってしまいます。赤ちゃんは正常な成長と発育のために、充分な酸素を必要としますので、発育が遅れたりする可能性があります。

妊娠中に喘息が悪化する患者さんの中に、薬の使用に対する不安により薬を中止してしまうことがあります。また、医療従事者が、知識不足で必要な喘息治療薬の使用を中止・制限している例もあります。

適切なコントロールが行われば、妊娠そのものによって喘息が悪化する例はあまり多くないと思われます。さらに、分娩前のコントロールが良好であった場合に、分娩中に重篤な発作を生じた例はほとんど報告されていません。

妊娠の時期によって喘息の状態は変わるの??

最も喘息が悪くなりやすいのは妊娠24~36週と言われています。逆に出産直前の4週間に症状が悪くなることは少なくなるという報告があります。

喘息の薬は赤ちゃんに影響があるの??

一番心配なのは、薬剤のあかちゃんへの影響ではないでしょうか?
多くの喘息治療薬は、赤ちゃんへの影響については、ほとんど問題がないとされています。

吸入ステロイド薬は、赤ちゃんに対しても母親に対しても安全性の高い薬です。
β2刺激薬(気管支拡張薬)は、吸入薬、経口薬ともに、妊娠中も安全とされています。
テオフィリン製剤も、経口薬、注射薬とも、妊娠中の喘息コントロールに有用とされています。ただし、テオフィリンは乳汁中に分泌されるため、授乳中の投与には注意が必要です。

但し、新しい薬品で抗ロイコトリエン拮抗薬※については、妊娠での安全性が確立していませんが明らかな催奇形性は報告されていません。

※ アメリカではカテゴリーBといって、危険性の証拠がなく、妊婦でも使用しています。動物実験の結果からは催奇性に関してほぼ問題ないとされていますが、ヒトに対する安全性が十分に蓄積されていないので、妊娠中の投与は有益性が上回る場合に使用しています。つまり、赤ちゃんを低酸素の状態にしてしまうリスクから回避できるなら、この薬を使用すべきということです。

以上から、妊娠中に喘息薬を中止する方が、デメリットが高いですので、安全な出産のためにも当院で喘息のコントロールをさせていただきます。いつでもご相談ください。