喘息症状の悪化、ステロイドの飲み薬について
- 2025年7月9日
- 呼吸器内科
最近、喘息患者さんから質問をいただいたのでこちらでもお答えします。
質問
今まで他院などで、喘息症状の悪化のためにステロイドの飲み薬をよく使われてきましたが、本当によかったのですか?
その方は、頻回にステロイドの飲み薬の処方あり、骨粗鬆症の持病もありとても心配だったとのことです。
喘息症状(咳、息苦しさ)の悪化があった時に
まず、喘息症状の悪化時は、その原因を考えます。多いのは感染症による悪化ではないでしょうか。風邪の最中、または風邪をひいてから咳がずっと続いて、夜寝れない・・・などの経験がある方も多いと思います。感染症以外の原因として、アレルギー(花粉の時期など)、気圧の変化(台風シーズンなど)、乾燥、気温、黄砂、などなどいろいろとあると思います。
当院では、喘息症状の悪化時は、しっかりと採血、Xpを行うことが多いです。患者さんはよくおっしゃいます。風邪などひいてないのだけど、咳が急にでて・・・。採血をすると、しっかりと白血球、CRPなど炎症反応が高値で感染症を併発していることも本当に多いです。
ここで、もし原因をみつけようとせず、喘息症状の悪化だから、喘息治療を強化しましょう、ステロイドの飲み薬を出しましょうと処方したら、後述しますが、感染症が悪化して逆に呼吸器症状が悪化することもあります。
繰り返しますが、喘息の悪化原因をしっかりと調べることが重要なのです。
一般的に、喘息症状の増悪時は、吸入ステロイド(飲み薬ではないです、吸う薬の方です)の種類を変更したり、気管支を広げる薬、アレルギーの薬などを併用します。
それでも改善しない場合や、喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒュー)で呼吸が苦しい、酸素の値が低い場合は、ステロイドの飲み薬、点滴治療を行います。
喘息は、気管に炎症が起こり、知覚過敏な状態です。喘息症状がとても悪化している時は、この炎症が強くなり、例えるならば山火事になった状態です。この山火事を鎮火させるためには、大量の放水をして鎮火する必要があります。これが、飲み薬、点滴のステロイド治療です。吸入薬のステロイドだけでは、歯がたたないのです。
ステロイドの内服、注射治療はとても重要ですが、注意すべきこともあります。
それは、基本的には短期間、スパッと使用することです。長期間、頻回に使用すると、さまざまなデメリットもあります。その中に、患者さんが心配されていた骨粗鬆症も含まれます。また、免疫力が低下するので感染症が悪化してしまうのです。
当院では、喘息症状が悪化したときは、感染症の合併などの原因をしっかりと調べること、感染症(特に細菌感染)は適切な抗生剤が必要な場合(ウィルスは抗生剤は効きません)があること、その上で必要とあれば、しっかりと内服のステロイド治療を行うこととしています。
また、そもそも、喘息症状が頻回に悪化して、ステロイド治療が必要であれば、「重症喘息」の可能性があり、その場合は、抗体薬などの注射薬を考慮する必要があるのです。