痛みが本当につらくて・・・ 帯状疱疹後の痛みとは
- 2022年8月28日
- 内科
日常診療をおこなっていると、肋骨に沿って ”持続的に焼けるような、刺すような痛みがある” ”ひりひり、チカチカ、ズキズキ、締めつけられる、電気が走る” と表現されるような痛みで、苦しんでいる患者さんがいます。お話を伺うと、帯状疱疹の後の痛みが、長引いているのですね。
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウィルスによる感染症です。このウィルスは、子供の時にかかることが多く、その場合は、みずぼうそうという病名で知られていいます。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節という所に潜んでおり、加齢やストレス、過労などが引き金となり、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、帯状疱疹として発症するのです。身体の左右どちらか一方にぴりぴりとした痛みとこれに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れる病気です。
特徴
60歳代を中心に50歳代から70歳代に多くみられ、70歳以上で頻度が高くなります。
皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリとした痛みが持続することがあり、これを帯状疱疹後神経痛と言い、強い痛みが1年以上にわたって続くことも希ではなく、ご高齢者に多いとされます。
治療法
飲み薬の痛いどめを中心に、ブロック注射などを組み合わせて実施します。痛みを完全に取り除くのは難しく、また治療は長期にわたるため、日常生活の質が大きく損なわれます。
予防法
帯状疱疹の予防ワクチンは、帯状疱疹の発症率を低減させ、重症化を予防します。適応は、50歳以上となっております。基本的には、50歳未満は仕様ができません。これは、適応違反で使用すると、ワクチンの救済制度などが使えなくなるからです。今のところ、保険適応ではなく、自費扱いとなっています。
帯状疱疹ワクチンは、現在2種類あります。
効果や費用などに違いがあり、生ワクチンは、免疫抑制状態の方には打てないので注意が必要です。
- 従来型生ワクチン(1回接種):弱毒生水痘ワクチン 従来型 商品名:「ビケン」
弱毒化された生きたウイルスが含まれており、小児に使用する水痘ワクチンですが、帯状疱疹を予防する効果があります。1回の接種で済みますが、有効性は約60%で、5年を超えると有効性が低下します。
- シングリックスワクチン(2回接種):不活化ワクチン 商品名:「シングリックス」
2か月間隔で2回接種(合計2本)が必要ですが、予防効果が90%以上と高く、効果の持続も10年程度見込まれます。
接種費用は1回23000円(税込)、(2回接種で46,000円(税込))と高額になっていますが、非常に予防効果が高いワクチンですね。
シングリックスは注射部位の痛みや発赤、腫れやなどの副反応が多く出ると言われます。これは、アジュバントと呼ばれる、細菌由来の免疫を刺激して炎症を強く起こす物質を組み合わせているからです。
当院ではワクチン接種が可能ですので、お気軽にお尋ねください。